まだ間に合う?EBM講座
がんは小さくなっても・・・
前回の真のアウトカムで評価しているかにつづきます。もう少し、真のアウトカムについて考えてみましょう。
がん治療の効果判定
がんの治療の場合には、どのような項目で効果判定をするでしょうか。
治療によってがんが小さくなったのか、でまず検討されると思います。しかし、がんが小さくなっても、寿命が延びるとは限りません。
骨密度と骨折の関係と同じで、実はがんは小さくなったが死亡率は多くなっていた、という研究はたくさんあるのです。
この例では、がん治療の効果を判断する指標としては、
- 代用のアウトカム:がんの大きさ、腫瘍マーカー
- 真のアウトカム:がん死亡率、総死亡率、治療による有害事象
となるでしょう。
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真のアウトカムで評価しているか
さて、ここまで骨粗しょう症の予防について、いくつかのCMEC-TVをみてきました。いかがでしたでしょうか?
結果は意外とはっきりしないもの
骨粗しょう症予防としてのビタミンDについては、研究によって結論が異なる、というものでした。効果があるのかないのかだんだんわからなくなってきた、はっきりしてほしい、というのが本音ではないでしょうか。
よほど大きな効果が得られる治療なら、このような玉虫色の結論ということはありえないでしょう。ところが、現実の治療や予防に関する研究は、このように結論がはっきりしないものが意外と多いのです。(つまり、効果はあまり大きくないということでしょうか。)
CMECジャーナルクラブでは、採用基準に真のアウトカムであることを条件にしており、対象とする論文が限定されています。(採用基準は意外とシンプル)
採用基準に含まれない研究論文まで目を向けていくと、さらにわけがわからない結論となってしまうはずです。
ところで真のアウトカムとは何か、というところから今回は話を進めていきたいと思います。
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ビタミンDはカルシウムと一緒に
高齢者に大量のビタミンDを与えると、むしろ骨折が多い、という研究があることがわかりました。
それでは、通常のビタミンDでは骨折が少なくなるのでしょうか?
ビタミンDのメタ分析
ランダム化比較試験をのぞいてみようで紹介した、「骨粗しょう症」のカテゴリーにある5つのコンテンツ。残りの4つを見ていきましょう。
残りの4つはすべてメタ分析で、
となっています。
メタ分析とは、 同じ治療や予防法、検査法、危険因子などを検討したいくつかの研究がある場合、それぞれの結果をひとつの指標に統合してまとめた研究のことです。
CMECジャーナルクラブで採用されるメタ分析は、このうちランダム化比較試験のみをまとめた研究になっています。
このような条件を満たすメタ分析は、条件を満たしていない研究より適切な研究結果が得られている見込みがある、と考えられるからです。
「ビタミンDをとると、骨折を予防できるでしょうか?」を見ていきましょう。
まずは動画をご覧ください。
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