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エビデンスの森

CMECジャーナルクラブ非公式ガイド

真のアウトカムで評価しているか

 さて、ここまで骨粗しょう症の予防について、いくつかのCMEC-TVをみてきました。いかがでしたでしょうか?

 

 結果は意外とはっきりしないもの

 骨粗しょう症予防としてのビタミンDについては、研究によって結論が異なる、というものでした。効果があるのかないのかだんだんわからなくなってきた、はっきりしてほしい、というのが本音ではないでしょうか。

 

 よほど大きな効果が得られる治療なら、このような玉虫色の結論ということはありえないでしょう。ところが、現実の治療や予防に関する研究は、このように結論がはっきりしないものが意外と多いのです。(つまり、効果はあまり大きくないということでしょうか。)

 

 CMECジャーナルクラブでは、採用基準に真のアウトカムであることを条件にしており、対象とする論文が限定されています。(採用基準は意外とシンプル

 採用基準に含まれない研究論文まで目を向けていくと、さらにわけがわからない結論となってしまうはずです。

 

 ところで真のアウトカムとは何か、というところから今回は話を進めていきたいと思います。

 

骨粗しょう症は何のために予防するのか

 例えば、骨粗しょう症に対するビタミンDの予防効果を評価しようとします。どのような項目で効果を調べるのがよいでしょうか?

 

 骨密度がまず思いつくのではないでしょうか。確かに、骨密度はひとつの判断材料にはなるでしょう。

 それでは、ビタミンDをのんで骨密度が高くなったら、ビタミンDの予防効果がある、と言ってよいのでしょうか?

 

 この問題を考えるには、 骨粗しょう症は何のために予防するのか、というところから考えてみなくてはなりません。

 

 骨粗しょう症が進むと骨がもろくなり、骨折しやすくなります。高齢者がよく骨折するのは大腿骨や椎骨です。体を支える重要な骨が骨折することで、

  • 痛みが出る
  • 歩けなくなる
  • 日常生活動作(ADL)が低下する
  • 寝たきりになる
  • 合併症が起こりやすくなる

 などのおそれがあります。

 骨粗しょう症が進行して、このような不幸な事態に至らないようにしたい。そういった理由で多くの人はビタミンDをのんでみることを思い立つのでしょう。

 

 とすれば、骨粗しょう症に対するビタミンDの予防効果を確かめるには、骨密度ではなく、骨折やADLまたは合併症や死亡で本当に差が出ているのかどうかを調べるほうが合理的です。

 ビタミンDによって骨密度が高くなったとしても、骨折が多くなっていたり、合併症や死亡が多くなっていれば、元も子もないわけですから。

 

真のアウトカムと代用のアウトカム

 研究する上で、評価に用いる指標や項目のことをアウトカムと呼びます。

 このうち、今回の具体例では骨折や死亡など、患者自身の生命や生活に直結する評価項目は「真のアウトカム」とよばれています。

 反対に、骨密度のような検査成績や患者自身の生命に直接関わらない評価項目は「代用のアウトカム」とよばれています。

 

 骨粗しょう症に対するビタミンDの予防効果を判断する指標を、あえてどちらかに分類してみると、

  • 代用のアウトカム:骨密度
  • 真のアウトカム:骨折発生率、痛み(スコア)、ADL(スコア)、合併症発生率、死亡率

 となるわけです。

 

 代用のアウトカムを指標とした研究はたくさんあります。しかし、それだけでは本当に効果があるといってよいか微妙です。厳密にいえば、真のアウトカムで効果が検証されてはじめて、その薬の効果を評価することができる、と言っても過言ではありません。

 

 そういった視点から、骨粗しょう症の5編のタイトルを再度ご確認ください。

 真のアウトカムになっていたでしょうか?

 

まとめ

  • 骨密度が高くなっても、骨折が少なくなっているとは限らない。
  • 患者自身の生命や生活に直結する評価項目のことを真のアウトカムと呼ぶ。
  • 効果は真のアウトカムを検証してはじめてわかる。

 

CMECジャーナルクラブ・CMEC-TVはこちらです。

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