65歳以上のインフルエンザワクチン
さて、小児、成人と見てきましたが、いよいよ65歳以上です。
ほとんど同じ構造となっていますので、さすがに見慣れたのではないでしょうか。CMECジャーナルクラブでは、インフルエンザワクチン、65歳以上のコンテンツはひとつのみです。
今回のアウトカムは、インフルエンザの発症、インフルエンザ様疾患、死亡の3つになっています。高齢者になると、死亡のアウトカムは特に重要になってきます。
結果はこちら。
65歳以上でも、インフルエンザの発症(3研究の統合)は58%少なく、インフルエンザ様疾患(4研究の統合)は41%少ないという結果になっています。
ワクチンで死亡は予防できるか?
死亡(全ての原因)については1研究のみとなっています。症例数自体が少なく(分母が3人 対 1人)、そもそも1研究のみではメタ分析とはいえませんが、ランダム化比較試験についてはほとんどない、ということがわかります。
唯一の研究結果はオッズ比1.02、95%信頼区間は0.11~9.72となっています。やはりこれだけでは、なんともいえません。
ランダム化比較試験がこれだけしかなければ、観察研究をたどっていくしかありませんが、残念ながらCMECジャーナルクラブの採用基準をこえてしまいます。
これからの研究を待ちたいと思います。
まとめ
- メタ分析からはすべての年代において、ワクチン接種によりインフルエンザ発症は60%程度、インフルエンザ様症状では20~40%程度少なくなる。
- ワクチン接種で高齢者の死亡が予防できるかどうかは、まだ質の高い知見は十分ではなく結論づけることはできない。
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