ワクチン効果のアウトカムは?
インフルエンザワクチンの効果について、CMECで調べてみましょう。検索の方法は、前回記事をご覧ください。
さて、5件のコンテンツが出てきました。検索結果はこちら。
年代別に研究されている
5件のコンテンツを覗いてみると、このような内容になっています。
- 【メタ分析】小児
- 【ランダム化比較試験】集団予防
- 【メタ分析】小児
- 【メタ分析】65歳以上
- 【メタ分析】成人
このうち、2番目のみがランダム化比較試験となっており、集団予防を取り扱ったやや特殊な内容のものになっています。その他の4件のメタ分析は、すべて有名な「コクランライブラリー」からの論文要約となっています。
コクランライブラリー
コクランはメタ分析を発表するだけではなく、定期的に更新作業を行なっています。さきほどの4件のメタ分析のうち、小児のものは同じメタ分析の旧版と新版のものでした。(一見してわかりにくいため、注意が必要です。)
- 【メタ分析】小児 コクラン 2012年
- 【ランダム化比較試験】集団予防
- 【メタ分析】小児 コクラン 2008年
- 【メタ分析】65歳以上 コクラン 2010年
- 【メタ分析】成人 コクラン 2010年
つまり、メタ分析は年代別に3件あるということになります。
アウトカムに注目
インフルエンザワクチンの効果をみる研究では、どんなアウトカムが設定されているでしょうか。
アウトカムについては、こちらの過去記事をご参照ください。
インフルエンザワクチンについては、発症予防が主なアウトカムになっています。
実際に研究する場合には、症状が出たら全例インフルエンザの検査を行い確定診断をするもの(インフルエンザの発症)と、典型的な症状が揃ったところで発症と判断するもの(インフルエンザ様疾患の発症)に分かれます。
インフルエンザの発症では厳密に判断することができますが、実際の臨床現場では全例検査をして確定することはありませんし、患者本人にとっては、インフルエンザウイルスが検出されるかどうかよりも、つらい症状が出ないことのほうが重要であったりします。
どちらかといえば、インフルエンザの発症はワクチン製剤の効能に焦点を当てた研究になり、インフルエンザ様疾患の発症は臨床上の効果に焦点を当てた真のアウトカムに近い研究になるのかもしれません。
それでは次回から、3件のメタ分析を順に見ていきましょう。
まとめ
- インフルエンザワクチンのメタ分析は、コクランライブラリーの要約が3件。
- アウトカムにはインフルエンザとインフルエンザ様疾患の研究がある。
- インフルエンザ様疾患のほうが、臨床上の効果をみる真のアウトカムに近い。
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