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ビタミンDで骨折が多い?

 今回は、CMEC-TVのランダム化比較試験のうち、「ビタミンDをとると、骨折や転倒を予防できるでしょうか?」について、さらに見ていきたいと思います。

 

 まだ視聴していない人は、ぜひ一度動画をご覧ください。

 

 この内容をさらに簡単に要約すると、このようになっています。

  • 70歳以上の高齢者に
  • ビタミンDで治療すると
  • プラセボ(本来の薬の効果のないもの)と比べて
  • 転倒は15%多く、骨折は26%多い。

 

 プラセボとは、薬かどうかわからないようにしてある、本来の薬の効果のないもの(にせ薬)のことです。

 

 この研究では、対象者である70歳以上の高齢者に対して、ビタミンDなのか、プラセボなのか、わからないようにしてどちらかを投与し、その後に転倒と骨折がどのくらい起きたのかを調べた、ということになります。

 このビタミンDプラセボか、どちらの薬を投与するかをランダムに決める、これがランダム化比較試験です。

 

 結果を実数でみると、転倒(100 人年当たり)は、ビタミンDで 83.4回、プラセボで 72.7回。骨折(100 人年当たり)はビタミンD で 4.9か所、プラセボで 3.9か所となっています。

 

年1回の大量ビタミンD

 この研究では、ビタミンDの投与方法が普通の治療とは違っています。年1回のみ、50万単位という大量のビタミンDを飲んでもらっているようです。

 日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、ビタミンD目安量は1日5.5μg(220単位に相当)とのことですので、いかに大量なのかがわかります。

 

 この研究からいえることは、大量のビタミンDでは高齢者の骨折予防効果がないばかりか、むしろ転倒も骨折も多い、という結論になるでしょう。

 

  それでは、普通の量なら予防効果があるのでしょうか?さらに深い森へ足を踏み入れてみましょう。

 

まとめ

  • ビタミンDプラセボかわからないようにしてランダムに決める、それがランダム化比較試験。
  • 高齢者に大量ビタミンDを与えても骨折は多くなる。

 

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