小児のインフルエンザワクチン
それでは年代順にインフルエンザワクチンを見ていきましょう。まずは小児から。
4年の進歩
2008年のメタ分析(コクラン)のCMEC-TVを見てみましょう。タイトルの下、一文で結果を要約している部分に注目です。
次に、2012年のメタ分析(コクラン)も見ておきましょう。
この2つの違いは何でしょうか?
2008年のメタ分析では「インフルエンザ不活化ワクチン」となっていますが、2012年のメタ分析では「インフルエンザ(生または不活化)」となっています。
2008年では含まれていなかった、生ワクチンのデータが2012年では収載されている、という点が違っています。
ちなみに、インフルエンザの生ワクチンとは鼻スプレーのワクチン(国内未承認)のことです。
2つのメタ分析はいずれも、16歳未満の健康な小児に、インフルエンザワクチンを接種すると、接種なしと比べて、インフルエンザの発症やインフルエンザ様疾患の発症は少ないか、を検討したランダム化比較試験の結果を統合したものです。
2つの結果を比較する
CMECジャーナルクラブの結果をみていきましょう。ジャーナルクラブではインフルエンザ様疾患がインフルエンザ様症状とかかれています。"Influenza-like illness"の訳語ですが、同義語と思ってよいでしょう。
2008年
2012年
結果はこのようになっています。不活化ワクチンについては全く同じ結果が記載されており、5つのランダム化比較試験を統合した結果が示されています。
不活化ワクチンを接種すると、ワクチン接種なしに比べてインフルエンザ発症は59%少なく、インフルエンザ様疾患は36%少ない、という結果です。
生ワクチンについては、2012年の結果のみに記載されており、同様にインフルエンザ発症は80%少なく、インフルエンザ様疾患は33%少ない、という結果でした。
このジャーナルクラブだけでは、不活化ワクチンと生ワクチンを直接比較してはいませんので、どちらが優れているかはわかりません。いずれも、インフルエンザの発症やインフルエンザ様疾患は少なくなっている、ということが確認できます。
まとめ
- メタ分析には不活化ワクチンだけではなく、点鼻生ワクチンの研究もある。
- 不活化ワクチンではインフルエンザ発症は59%少なく、インフルエンザ様疾患も36%少ない。
- 生ワクチンでも同程度の効果が確認されている。
CMECジャーナルクラブ・CMEC-TVはこちらです。