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メタ分析の結果が不一致

 さて、骨粗しょう症のコンテンツを見てきましたが、ここまでの論文では、ビタミンD単独では骨折予防にならない、というものでした。

  • 高齢者に大量ビタミンDを与えても骨折が多い。(ランダム化比較試験)
  • ビタミンDでは骨折が多いが、カルシウムと併用すると骨折が少ない。(メタ分析)

 

ビタミンDには効果がないのか?

 ビタミンDでは骨折が多いという2つの研究。ほかの研究でも、ビタミンDには効果がないという結果だったのでしょうか?

 

 ランダム化比較試験をのぞいてみようで紹介した、「骨粗しょう症」のカテゴリーにある5つのコンテンツ。残りの3つのコンテンツを見てみましょう。

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 「ビタミンDを摂取すると、骨折を予防できますか?」は2010年に発表されたメタ分析です。結果は、

  • ビタミンDを投与しても、投与なしと比べて骨折の発症は同等である。

 

 「ビタミンDサプリメントを飲むと、骨折は予防できますか?」は2012年に発表されたメタ分析です。結果は、

 

 さらに、「カルシウムやビタミンDをとると、骨折を予防できるでしょうか?」は 2007年に発表されたメタ分析です。結果は、

  • 50歳以上の健常者がカルシウム、またはカルシウムとビタミンDの両方を摂取すると骨折が少ない

 

ビタミンD単独の効果は疑問

 ビタミンD単独の骨折予防効果については、いくつかのメタ分析で結果が一致していないようです。少なくとも、効果があるとは断言できません。

 

 メタ分析は別々に行われたいくつかの研究を統合して解析したものですので、研究対象となる患者の属性や治療内容には当然ばらつきがあります。(ごちゃまぜバイアス

 これはメタ分析の弱点のひとつですが、結果の解釈には注意が必要となります。論文内容をさらに吟味する必要があるかもしれません。

 

 ビタミンDにカルシウムを併用したものについては骨折は少ないようです。これが何らかの影響を与えている可能性はあるかもしれません。いずれにせよ、この結果は治療に役立てそうです。

 

まとめ

  • ビタミンD単独では、骨折予防効果はあるかどうかわからない。
  • ビタミンDにカルシウム併用すると、骨折は少ない。
  • メタ分析の弱点のひとつにごちゃまぜバイアスがある。

 

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